前回の支援の記事で、資源:「人々」「インストラクチャー」「環境」「測定のための資源」「知識」について書かせていただきました。
今回はその続き
- 力量
適格性を持たせる - 認識
組織全体で、認識力を高める - コミュニケーション
情報を伝えるではなくやり取りさせる
等をまたしてもISO9001に沿って解説していきます。
前回の支援の記事を読んでいない方は先に読んでから見ていただくとより一層理解しやすいかと思います。
今回ももちろん組織が品質を維持するために必要なものだよ!
力量
組織の人全てが、それぞれに必要な能力(力量)が備わったときに、品質マネジメントシステムは最高の効果を得ることが出来ますので、十分な力量を備えてください。
力量が備わっていないと頭でっかちになり、パフォーマンスが下がってしまうので注意してください。
組織は次の事を行うことでその力量を備えることが出来ます。
- それぞれの持ち場にて、どのような力量が必要か整理する
- 人々がどのような力量を備えているか確実にする
(力量はその人が受けた教育や、訓練、経験で判断する) - 必要な力量を持った人を確保する ※力量が足りない場合は身につけるための処置をする
- 必要な力量に到達することが出来るように訓練する
- 他部門から異動する
- 新たに雇い入れる、派遣社員を使う
※身につけるための処置を行った場合は、力量が備わっているか評価する
- 力量を証明するために、教育や訓練を行った記録、技能を評価した記録、経験を示した文書を記録として残す
知識だけ、技能だけにならず十分な力量を備えてください。
交通ルールを完璧に覚えてても、運転下手だと危ないよね💦
逆だったとしても危ないよね💦 力量ってそういうコト!
認識
組織の人間全員が、各自の役割や責任を十分に理解すると、各自の行動が目標達成にどのように貢献するかわかり、全員が積極的に参加し最高のパフォーマンスを発揮することが出来ます。
認識が漏れてしまうと、やる気を削いでしまったり、空回りしてしまったりと狙い通りの組織運営ができなくなることもあります。
そのために、組織の人間全員に次のことを認識させましょう。
- 品質方針の意味
- 品質目標
- 狙い通りいくとどんな良いことがあるか、そのための自分の役割や重要性
- 品質マネジメントシステムに適合しないとどういう事になってしまうのか
また、そのためにはトップマネジメント自ら次の取り組みが重要となります。
- 各自の貢献の重要性を理解させるために、それぞれとコミュニケーションを行う
- 組織全体の協力体制を構築する
- 知識や経験の共有を促す
- 各自が、ボトルネックになる条件を明確に理解し、恐れることなく主導出来るように権限を与える
- 各自の貢献やパフォーマンスの向上を認め、褒める
- 各自の目標に対するパフォーマンスの自己評価を可能にする
- 各自の満足を評価し、その結果を伝え、適切な改善を行う
組織に携わる人全員が、何を目指しているか、自分がなんのためにいるのかを十分に認識することが最大限のパフォーマンスに繋げることが出来ます。
何も知らないまま仕事しても面白くないよね。
自分の力量にあった責任があればモチベーションアップに
コミュニケーション
組織全体でのコミュニケーションは全員の積極的参加を促すことができます。
また、コミュニケーションは次のことも全体に認識させることができます。
- 組織の状況
- お客様や利害関係者のニーズ
- 品質マネジメントシステム
但し、コミュニケーションの意味をはき違えて無駄に取ってしまうと間違った情報のやり取りなどが発生します。
そうしない為に、情報が正しくやり取りされる仕組みを作ってください。
そのためにISO9001では次の内容を決めることが良いとされています。
- 何を伝えるか
- いつ伝えるのか
- 誰に伝えるのか
- どうやって伝えるのか
- 誰が伝えるのか
※日常の業務連絡から、経営上の提案等様々なものが対象になります。
正しいコミュニケーションをとって、全員が参画できるよう仕組み作りしていきましょう。
文書化した情報
文書化した情報とは組織が管理し、「最適な状態で維持」、「内容が変更されないように保持」されている情報が含まれる媒体。
それには次の2種類が存在します。
- 文書
仕事をするために作成されたもの - 記録
仕事を達成した結果の証拠
さぁ、具体的に解説していきます
文書化する必要のあるものとは?
組織が次の内容の文書化が必要です。
- ISO9001が要求しているもの(ISO9001の取得を目指している場合)
- 仕事をきちんと行うための計画、運営及びプロセスを確実に行うために必要となる組織によって定められた文書及び記録
つまり、仕事に必要な文書を組織で定め管理しましょうということ。
※計画、実施、確認と多くの文書が含まれます。
文書の詳しさは組織の実情をみて定める
- 組織の大きさ、仕事内容、商品やサービスの種類
- 仕事の複雑さ、プロセスのつながりの複雑さ
- 仕事をする人々の力量
組織ごとで十人十色でいいんだよ
何でもかんでも大企業のマネをすると管理出来なくなっちゃうよ!
作成及び更新
文書化した情報を・作成・更新する際は、あとで取り返しがつかなくならないように次の事を行ってください
- 更新の状況がわかるように識別する
- 何の文書、記録なのかわかりやすく作成する
(タイトル、内容、日付、作成者、場所、番号) - 変更した場合、変更点をわかりやすく表記する
- 改訂番号や改定日をつけ、いつ更新した第何版か見分けれるようにする
- 更新前の文書など無効な文書は「旧版」「廃止」「使用禁止」等表示を行い、誤って使わないように工夫する
- 何の文書、記録なのかわかりやすく作成する
- 適切な形式や媒体を利用する
関わる人たちが、作りやすく、利用しやすく作成する - 適切なレビュー及び承認
- 文書作成後、文書ごとに定められた責任者が、その内容を点検(レビュー)し承認
承認し、発行した文書だけを使用する - 文書は、定期的に点検(レビュー)をする
- 必要に応じて文書を改訂する。外部文書は必要に応じて最新版に取り替える
改訂の際も、責任者が内容を点検(レビュー)し承認する
- 文書作成後、文書ごとに定められた責任者が、その内容を点検(レビュー)し承認
こういった事をしないと、どの文書が正しいか等がわからなくなり混乱の元となるので徹底してください。
文書化した情報の管理
文書化した情報は、必要なときに必要な状態で出してこれて、保護されていなくてはいけません。
必要な状態で出してこれるとは
- 使う人が、見たいときに見られるようにする
- 最新版を使えるようにする
- お客様から、指定されている旧版を使うようなケースでは旧版が使えるようにする
- 文書にはタイトルをつけて、見やすい形で表示する
- 取り違えしないようにする
- ファイリングの仕方、保管場所等を工夫する
保護するとは
- どの文書・記録をどこに、どのように保管するか決める
- 保管期間を過ぎた記録をどのようなタイミングでどのように処分するか決める
- 不必要なタイミングで使用できないようにする
- 配布ではなく、配付を行う(ビラのように配るのではなく特定の人に配る)
- 汚れたり、ボロボロにならないように取り扱う
傷んだ場合はキレイなものと取り替える
文書や記録は必要なときに必要な状態で出してこれて
きちんと保護出来ているが鉄則❗
文書・記録の管理
何度も言う通り、文書・記録の管理は重要です。
企業にとってリスクの要因になりうるレベルなので、それだけ注視すべき内容です。
文書・記録の管理のために組織で次の事を実行してください。
- 配付、アクセス、検索及び利用
- 読みやすさが保たれていることを含む、保管及び保存
- 変更の管理
- 保持及び廃棄
※これらは外部文書も同じ
記録に関しては、加筆や修正をしないように注意が必要
文書・記録の管理は経営にも関わる重要事項ですので、徹底してください。
ISO9001の豆知識
ISO9001の文書化に関する要求事項ですが、2008年版に比べ2015年版はかなり減っています。
具体的には
- 文書管理
- 記録管理
- 内部監査
- 不適合製品の管理
- 是正処置
- 予防処理
これらの手順が要求されなくなりました。
2015年版になり、マニュアル等の文書や様式ではなく、人のあり方にフォーカスされているということがわかります。
まとめ
前回の支援の記事 資源:「人々」「インストラクチャー」「環境」「測定のための資源」「知識」の続きを書かせていただきました。
組織の人全員の認識を高め、それぞれに適格性をもたせ、それぞれが提案、発言させるそうすることで、人々の積極的な参画
を可能な環境を整え、提供することがトップマネジメントに取って重要なことと言えます。
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