こんにちは、すだおです
製品やサービスの品質を継続的に改善していくためには、何が必要でしょうかと聞かれてすぐに答えれるでしょうか。
今回の記事では、組織が品質を維持するために必要なものを明確にして、提供することについて解説します。
- 今の社内の実力が理解できていないので何が出来て出来ないかわからない
- 品質を維持するために何を取り入れなければいけないかわからない
- ISO9001の取得を考えている
- 新入社員で仕事について勉強中
- 品質管理について勉強中
このように悩んでいる方や勉強中の方に向けて、【ISO9001 7:支援】の内容を元に書かせていただきます。
ぜひ見ていってください。
支援とは
支援とは辞書で調べると「力を貸して助けること」等と表記されております。
この記事での支援の意味は、
【品質を向上させる仕組みを確立し、維持していくために必要な資源を明確にして、トップマネジメントから提供すること】を指します。
簡単に言うと
【組織は皆でお客様満足度を向上させる仕組みを作り、うまく運用し続けるために何が必要か把握した上で、必要なものを組織のトップから提供すること】
ということです。
これを意識することにより、次のようなことが可能となります。
- 十分な人や設備などの資源の提供が可能となる
- プロセスや狙い通りいっているかを監視できる
- リスクや機会が明確になって評価しやすくなる
- 各プロセスでの適切な処置が実施できる
さぁ、そのようにしてその支援を実現するのか解説していきます。
資源
支援を実現させるためには、品質マネジメントシステムの確立、実施、維持、継続的改善の為に、なくてはならない資源を明らかにしなけてはいけません。
明らかにせずに、資源を取り入れようとすると余分なものが増えてしまい、処分・処遇しなくてはいけなくなるので、注意が必要です。
ではどのようにして明らかにしたら良いのでしょうか。
次の2つを考慮した上で、資源を明らかにしてください。
- 組織が現在どの程度、要求事項を満たすだけの能力を持っているか?
(人や設備の能力、知識がどの程度あるのか、予算やスケジュールがどれだけ確保できるか考慮する) - 新たに外部から取り入れなくてはならないものは何か?
(余分なものは買わず、必要なものを取り入れる事を考慮する)
十分に見極めた上で、必要な資源を明らかにしてください。
人々
人々というのは、組織運営で欠かせない資源です。組織の能力そのものは、人々がどのように動くかで決まると言っても過言ではありません。
組織は品質マネジメントシステムのプロセスの運用や管理、有効な実施の為に必要な人材を提供しなくてはいけません。
それは、適切な人材を適切な数配置することで、積極的に人が働き、最大限のパフォーマンスを発揮することができるためです。
必要な人材を適切な場所に配置するには、(・業務活動・監査・検査・試験など)における働きや役割を実施する関係者の現時点の作業負荷や力量を考慮すべきです。
つまり、リーダーとなる人は、各プロセスの現場を見て判断しなければいけません。
工程ごとに、どのような力量が必要か、何が出来ないといけないかなどしっかりと考えて、人材を提供してください。
インフラストラクチャ
インフラストラクチャの意味
インフラストラクチャと聞くとなにそれと思う方が多いかと思いますので、先に意味を説明します。
世間一般的には略されて【インフラ】と言われることが多いです。インフラと聞くとなんとなく意味はわかってきますよね。
意味としては「生活や産業などの経済活動を営む上で不可欠な社会基盤」とされ、一般的には次のようなものが当てはまります。
- 道路
- 鉄道
- 上下水道
- 電気
- 通信網
- 学校
- 病院
- ダム
- 物流
簡単に言うと、生活や産業の中で、なくてはいけないものと思っておいてくれればと思います。
さて、本題に入ります。
製品やサービスをお客様に一貫して提供するために必要な施設や設備を提供しましょう。
組織によって製品やサービスを提供するために必要なインフラストラクチャが違います。
まずは、それを明確にしましょう。
次の項目に沿って、考えると必要なインフラストラクチャが明確になってきます。
- 建物や建物に関連する役立つもの
- 建物
- 作業場所
- 水
- 電気
- ガス など
- 設備
- 機会
- 工具
- PCハード
- PCソフト など
- 輸送のための資源
- コンテナ船
- 飛行機
- トラック など
- 情報通信
- 電話
- インターネット
- 社内メール など
必要と判断したインフラストラクチャを提供しましょう。
これがなければ人が集まっても小さいパフォーマンスしか出せません。
提供するだけでなく、必要なときに使えるように管理しましょう。
点検、整備、修理などのルールを組織で決めて実行することが有効だよ
プロセスの運用に関する環境
プロセスの運用に必要な環境を明確にし、それを提供し、製品やサービスの提供を円滑化させましょう。
適切な環境を提供することにより、各プロセスのパフォーマンスが最大限に発揮させることが出来ます。
さぁ、環境を整えていきましょう。
環境を考える時、「社会的」「心理的」「物理的」この3つの観点で考えてください。
- 社会的観点とは
差別がないか、穏やかであるか、対立していないか等 人や会社との関係性の良い環境を整える - 心理的観点とは
ストレスが溜まりにくいか、心のケアができるか等 従事者に寄り添った環境を整える - 物理的観点とは
温度や湿度、光、ホコリ、騒音等 製造品質に直接関わる物理的な環境を整える
物理的観点での環境整備というのは、一般的に行われやすいのですが、社会的、心理的な観点でも環境を整えるようにしてください。
注意しないといけないのが、プロセスによって必要な環境が異なります。
必要に応じ、各プロセス関係者からの聞き取りを行い、環境を提供しましょう。
現場でないとわからない事がたくさんあるよ
特に心理的な環境は現場従事者に寄り添ってあげないとわからないよ
監視及び測定のための資源
製品やサービスの品質が良いか評価するときに、監視や測定の結果が妥当で信頼できるものであることを実証するために必要な資源を明確にして提供することが必要です。
必要な資源がなければ、十分な品質の提供を約束することができなくなりますので、大変重要です。
必要な資源とは、どのように決めれば良いのでしょうか。
- 商品が決めた通り出来上がっているか、工程が決めたとおりに進んでいるかを確かめるために、どのような工程監視、測定、検査をしないといけないか決める
- 工程監視、測定、検査を行うために、どのような装置や機器(人も含む)が必要なのか決める
- 管理方法や測定機器を決めるときには、製品ごとにどの程度の要求があるのか把握しておく
- 工程監視、測定、検査の方法を定め、その際に使用する機器は、必要な精度で得られるように決める
必要な資源が決まれば、正しい測定をし続けるために維持しなくてはいけません。
- 検査機器であれば、機器の保護や構成
- 検査員に対しては、検査の認定を定期的に行う
これらの資源を明確にして、提供してください。
自らの仕事が妥当であったか実証するために、
証拠として適切に文書化した情報を保持しましょう。
測定のトレーサビリティ
自分たちが行った検査結果が、妥当で信頼できるものであると実証するためには、監査や測定に必要とする資源の維持が必要です。
維持しておかなければ、十分な証拠として測定結果を残すことが出来ません。
維持するためには何をすれば良いのでしょうか。
- 校正
定期的な校正や使用前の校正又は点検を行う(国際標準や国家標準があるものは従い、無いものは各自で校正のやり方を定め、実施する また、校正できないものは精度確認を実施する) - 調整
調整が必要な機器については確実に調整する - 識別
個々の測定機器について、校正され使える状態かどうか使用者にわかるようする(シールなど) - 校正状態の保護
校正、調整された機器が、勝手な操作などで狂わされ無いように対策する - 機器の保護
使用、持ち運び、保守点検などの間に、機器が破損したり、狂ったりしないように正しく保護し、取り扱う - 校正や精度の記録
機器の校正や精度確認の記録を残す
このようにして、測定機器の維持を行ってください。
また、校正や調整などを行った際、異常が確認されたら、その事に対し次のような処置を行わなくてはいけません。
- 測定機器が狂っていることがわかったら、それまでにその機器を用いた商品について、問題がないか確認する
- 確認した内容を記録し残す
- 狂っていた機器は、校正、調整、修理などの処置する (場合によっては廃棄も検討)
- 商品に問題があった場合は、お客様に迷惑がかからないように対策する
組織の知識
製品やサービスの品質を保ち、社会環境の変化に対応するために組織に必要な知識は何かを明確にし、その知識を維持し、不足しているものは新たに獲得しなければいけません。
知識が欠けていると、変化するニーズに対応出来なかったり、目指しているものを得られない状況に陥ります。
どのようにして必要な知識を持ち続けることができるのでしょうか。
まずは、仕事や業務で必要なもの、仕様や基準を満たす製品やサービスを提供する上で必要なものを整理してください。
つまり、作業のノウハウ等の簡単に言語化出来ないような知識、文章や数値で表されるデータ両方を組織の資産として自分たちの仕事に活用できる体制を整えてください。
そして、現在の知識を考慮した上で、環境の変化による追加で必要な知識をどのように取り入れるか決めておく必要があります。
取り入れるための知識源としては次のようなものがあります。
- 過去の経験値
- 過去の教訓
- 知的財産
- 文書化出来ていない知識や経験 等
- 規格・標準
- 学界
- 会議
- お客様からの情報 等
現状の知識に満足せず、常に外部から知識や情報を取り入れる
仕組みづくりが重要だよ。
まとめ
今回は、品質を維持するための支援について解説しました。
組織は皆でお客様満足度を向上させる仕組みを作り、うまく運用し続けるために何が必要か把握した上で、必要なものを組織のトップから提供することで成り立ちます。
必要なものとは、「人」「インフラストラクチャ」「環境」「測定機器」「知識」があり、それぞれ製品やサービスによって必要なものが違うので、必要なものを見定め、提供しなければいけません。
そのために次の内容に注意すること
- 組織が現在どの程度、要求事項を満たすだけの能力を持っているか?
(人や設備の能力、知識がどの程度あるのか、予算やスケジュールがどれだけ確保できるか考慮する) - 新たに外部から取り入れなくてはならないものは何か?
(余分なものは買わず、必要なものを取り入れる事を考慮する)
「最大限の実力を発揮するために、何を提供すればよいか」
トップを中心に皆が積極的に考えることで、実現できますのでぜひ実行してみてください。
次回の記事では、力量や認識、コミュニケーションについて(支援についての続き)を解説します。
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