【審査員に教わった】ISO9001 8運用① 計画⇛設計・開発 わかりやすく解説!

こんにちは、すだおです。

製品やサービスの品質を継続的に改善していくための、「運用」つまりPDCAのDの部分について解説します。

  • 品質を維持するために何を実施しなければいけないかわからない
  • プロセスの管理について知りたい
  • ISO9001の取得を考えている
  • 新入社員で仕事について勉強中
  • 品質管理について勉強中

このように悩んでいる方や勉強中の方に向けて、【ISO9001 8:運用】の内容を元に前半を簡単に解説します。

もくじ

運用の計画及び管理

組織は、社外から提供される製品・委託業務を含めて、求められる商品やサービスの提供に必要なプロセスを計画し、実施し、管理することを確実にしなければなりません。

イメージで言うとPDCAのDの中にPDCAがあり、
きちんと管理していきましょう! みたいな感じ(^^)

そのために次の事をはっきりと示しておく必要があります。

  • 商品やサービスについて求められていることは何か
    (お客様・社外・社内)
    • 個々の商品について決められた仕様や関連する約束事
    • 法規制や品質目標
  • 商品やサービスの合否判定基準やプロセスの合否判定基準を決める
    • その実施タイミングや実施方法、判断の基準まで
  • 必要な要員(人、技術、技能、資格 等)、施設、設備 【資源】
  • 監視、測定、検査、妥当性確認などの評価活動と製造条件
  • 商品やサービスが決められた通りに提供され、実施された証拠として、どのような記録が必要か決め、保持する。【文書化した情報】

また、この計画は、会社の活動に適したものとします。

上で説明したプロセスの計画とは次のようなものの事です。

  • 個々の商品やサービスに関するもの
    • 商品企画
    • サービスマニュアル
    • 工程品質管理表
    • 商品図面   等
  • 一回限りの工程について決める計画
    • 設計計画書
    • プロジェクト計画書
    • 施行計画書
    • 建設業の設計図面   等
  • 各商品に共通する仕事のやり方
    • 手順書
    • 指導書   等

もし、計画を変更したい場合、その内容を確実に関係者に認識させ、変化点をわかるようにする必要があります。

想定以外の変更を余儀なくされた場合は、その変更によって起こったことをレビューし、有害な影響を軽減するように是正処置が必要です。

外部に委託した仕事も、相手任せではなく
対象と考える必要があるよ。

※ただし、社外に対し権限があると勘違いし横柄な態度は取らないように注意が必要

製品及びサービスに関する要求事項

商品やサービスに関する要求事項を明確にするとき、組織と顧客との間に明確なコミュニケーションを気付く必要があります。

また、契約前に、約束を果たせるか見直し、約束を果たす能力をもつことを確実にしないといけません。

顧客とのコミュニケーション

商品やサービスに対しての要求事項を明確にするためには、組織と顧客との間にコミュニケーションが必要です。

コミュニケーションが取れていないと契約内容の確認などもスムーズに行えず、要求事項があやふやになります。

次の項目について誰がどのような方法でお客様より情報を入手するか、お客様に情報を提供するか等を含めてコミュニケーションをとりましょう。

  • 商品やサービスの情報
    • 商品やサービスの紹介や宣伝活動
    • お客様から得る動向などの情報
  • 受注に関する情報や約束事
    • 引き合い
    • 契約や注文処理
    • これらの変更
  • 提供した商品に関するお客様からの反響
    • クレーム
    • 商品にレビュー
    • お客様満足度調査
  • 顧客の所有物
    • 商品
    • 個人情報
  • 緊急時の対応
    • アフター
    • 事故(交通、災害)

組織と顧客との間で明確な
コミュニケーションを持とうね!

製品及びサービスに関する要求事項の明確化

要求事項を決める際は、商品やサービスごとに、仕様、性能、法規に関する要求事項を整理し、明らかにしましょう。

その時、次の項目を必ず明確化させてください。

  • 商品やサービスの要求事項
    • 商品やサービスに適用される法律上または公的な決まり
      • 法律上の決まり
      • 国際規格や国家規格(ISOやJIS、JAS等)
      • 行政機関や政府系期間が決めた仕様や決まり
      • 業界団体で決めた仕様や決まり
    • 組織の事情で必要な項目
      • 会社の理念や方針を実現するための項目
      • リスク管理の観点からの項目
      • 営業戦略上での項目
    • 顧客要求事項
  • 組織が表明した、品質や他条件に対応出来ること
    • 技術的な能力
    • 生産能力
    • 在庫状況
    • デリバリー能力
    • 価格に応じれるか
    • 商品説明力

十分に要求事項を整理し、要求事項を明確にしよう。

製品及びサービスに関する要求事項のレビュー

運用中や引き渡し後に問題が発生するリスク低減のため、契約前に要求事項を満たしているか見直しを行いましょう。

要求事項を満たす事ができる商品とサービスを提供する能力があるかレビューする

レビューとありますが、簡単に言うと約束の確認をしましょうという意味です。

つまり、商品やサービスについてお客様と約束する前に、その約束の内容を確認するということです。

次の内容を含め確認しておくとスムーズに運用できます。

  • 顧客が明示した要求事項
    (納品、納品後の保証内容)
  • 顧客から明示されていないが、常識とされている暗黙の要求事項
  • 組織の事情で必要とされる要求事項
  • 商品やサービスに適用される、法令や規制などの要求事項
  • 提出した見積書、提案書から変更されている内容

※過去に同様の取引をしている場合は、それと比較し変更されている内容があれば、お客様と変更内容について確認をしておく必要があります。

約束内容についてお客様と確認した上で、
約束を行ってください!
とばすと逆にスムーズじゃなくなっちゃう

自分たちを守るため約束事について記録を保持する

約束事をレビューはしましたが、組織を守るためにも次の内容に関する文書化した情報を保持しましょう。

  • 約束事をレビューした結果
  • 商品やサービスの新たな要求事項

証拠として記録を保持することは重要です。組織を守るために保持しましょう。

契約してしまう前に、お互いに約束事を確認しあって、お互いを守り合いましょう。

製品及びサービスに関する要求事項の変更

契約や受注内容が変更される事は、どうしても発生します。
その際、社内・社外に関わらず、関連する人に商品やサービスの要求事項が変更されたことを確実に認識させる必要があります。

認識が漏れると、重大な問題につながるからです。

認識させるためには次の事を実行する必要があります。

  • 契約や受注の内容が変更された際、それに基づいて作成された文書があれば修正する
  • 変更されたことを必要な関係者に内容を伝え、変更内容を理解させる

※適切なコミュニケーション方法を選び、適切な文書化した情報を保持しましょう。
(連絡の電子メール、会議の議事録、修正した注文書 等)

商品やサービスに関する要求事項を明確にし、約束を果たすことを確実にしましょう。

製品及びサービスの設計・開発

商品やサービスが要求事項を満たすことを確実にするために、商品やサービスの特性を定める設計・開発プロセスを確立し、実施し、維持することが必要です。

設計・開発プロセスは、単に図面を書いて配布するだけではないです。
商品の品質保証をするためには、品質の4つの側面を考慮した設計・開発プロセスを確立して、計画したことを実施し、問題点を解決し、量産を迎えることが重要です。
つまり、企画から量産まで、どんなことを実施して品質保証するのかを仕組み化しておくことが大事です。

品質の4つの側面
  • 商品のニーズの定義による品質
  • 商品の設計に基づく品質
  • 商品の設計への合致の品質
  • 製品のサポートに関する品質

各段階にインプットすべきことや実施すべきこと、アウトプットすべきことを部門横断的に明確にする事が必要です。

また、次の段階へ移行する際の承認・責任を明確にしてください。(ホールドポイント)

量産までの活動は、品質保証にとってPDCAのPにあたります。

つまり、量産(D)した結果、設計・開発計画が正しかったか評価し、必要に応じて是正を行う必要があります。設計・開発プロセスは、量産までではなく、量産後の評価までを規定し、実施し、維持しなければいけません。

設計・開発の計画

必要な設計・開発活動や職務を明確にするために、設計・開発の計画を立案することが必要です。

設計や開発を行う場合、計画を立て、それに基づいて管理しなくてはいけません。
このときは、次のことを考える必要があります。

  • どういうものの設計・開発なのか? 機関と難易度は?
  • レビューの実施予定は? どのような段階に分けるか?
  • 検証、妥当性確認の実施タイミングは?
  • 責任者や担当書の責任と権限の範囲は?
  • これがなければ設計・開発できないというものは何か?
  • 個人やチーム間で情報交換や意思疎通をどうやって行うのか?
  • 顧客やユーザーグループとの関わりを持つ必要があるのか?
  • 以降の商品やサービスの提供で求められること
  • 顧客・利害関係者から期待される管理の程度
  • 自分たちが正しく出来たことを実証できる証拠はどういうものなのか?

これらを考慮して、計画を立て、それに基づいて管理してください。

設計・開発へのインプット

設計・開発を始めるのに用いる必要な情報(インプット)を決める必要があります。

その時、次の内容について考慮しましょう。

  • 求められる機能や性能
  • 成功・失敗事例、ノウハウ
  • 守らなければいけない法令や公的な決まり
  • 自主的に決めた、基準など。
  • 問題発生時、設計・開発品が与える被害影響度

次に決定した情報(インプット)は内容が適切かを確認する必要があります。

確認するポイント
  • 必要な情報に抜けはないか
  • 曖昧な点はないか
  • 情報間に矛盾はないか

見つかったら、直ぐに解決!

また、インプットに関する、文書化した情報を保持してください。

設計・開発の管理

設計・開発のプロセスは、次のことを確実にするために管理しなくてはいけません。

  • 設計目標への達成レベルがハッキリわかる
  • レビューが確実に行われている
    ※設計・開発のレビュー:関係する部門や専門家が、設計・開発の内容について問題がないか点検し、意見(提案)を述べる(正しい設計目標になっているか)
  • 設計検証が行われている
    ※設計検証:設計・開発の結果(アウトプット)が、要求事項(インプット)をクリアーしているか確かめる(正しく設計できたか
  • 妥当性確認が行われている
    妥当性確認:設計・開発をした商品が実際の使用条件で、狙い通り機能するか確かめること(本当に使えるか)
  • レビュー、検証、妥当性確認で確認された問題は処置する
  • これらの活動について、文書化した情報を保持する。

以上の内容が行われるように管理してください。

設計・開発からのアウトプット

設計・開発の結果は、次の通りにならなければいけません。

  • 求められた機能や性能、守るべき法律や公的な決まりをクリアーしている
  • 必要な情報がある
    • 製造・サービスの為に必要なこと
    • 部品、資材、原料、サービスなどの購入に必要なこと
    • 取引先を使う場合に必要なこと
  • 商品やサービスの合否判定基準が書かれているもしくは、判定基準がどこに書かれているか指定している
  • 次の点について、必要な情報を含んでいること
    • 商品を安全に使用する為に必要なこと
    • 商品を適切に使用するために必要なこと
    • サービスを安全に提供するために必要なこと
    • サービスを適切に提供するために必要なこと

設計・開発の結果について、文書化した情報を保持しなければいけません。

設計・開発の変更

設計・開発の途中や終了後に内容を変更する場合、変更した内容を識別してレビュー、管理しなければなりません。

これを怠ることにより、後に大きな問題発生につながるので重要視してください。

そのために、次のことを実施し、文書化した情報を保持してください。

  • 変更に対し、設計・開発のレビュー、検証、妥当性確認を行うか判断、必要に応じて実施する
  • 変更のレビュー(検証、妥当性確認)では変更により商品の他の部分に影響が出ないか確認する
  • 変更のレビュー(検証、妥当性確認)では、変更により既にお客様に渡っている製品との間に問題が出ないか確認する
  • 変更のレビュー(検証、妥当性確認)を実施したら記録を残す

以上の内容を徹底してください。

まとめ

製品やサービスの品質を継続的に改善していくための、「運用」の設計・開発のところまでを解説しました。

「行動」「行動」と言われる世の中ですが、「PDCAのDの中に更にPDCAがある」みたいな内容になっています。

それだけISO9001ではPDCAを重要視し、PDCAに沿って仕事を進めるべきと考えているということだと思います。

とはいえ固く考えすぎず、組織ごとで状況は違いますので、柔軟性、順応性を意識して活動すれば良いと思います。

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